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主に写真+日記+自作の詩です。


by aimee-hoku-mahina
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旧国鉄士幌線とアーチ橋について。

そびえる山脈を貫く。それは鉄道技術者だけではなく、平野の少ない日本に住む者にとっての夢だったと思う。素晴らしい平原を持つ十勝平野も、現実は三方を山に囲まれる閉ざされた大地だった。ここに明治38年、狩勝峠を越えて根室本線が開通し、やがて池北線、広尾線と各方向に出口を求めてレールがのびていった。そのなか、一本の鉄道が東大雪の山塊にまっしぐらに向かっていった。士幌線だった。
 大正11年の改正鉄道敷設法には、「十勝国上士幌線ヨリ石狩国ルベシベ(上川)に至ル鉄道」とある。標高1450mの大難所、三国峠を越えようと目論んだのである。しかしその夢は時代によって砕かれる。昭和62年、士幌線は消滅した。その跡に多くの美しいアーチ橋を残して。 
↑↑↑NPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会HPより↑↑↑

国鉄士幌線は、帯広駅から上士幌町十勝三股駅まで、延長78.3キロ。大正15年7月10日に帯広─上士幌間38.4キロが開通、その後昭和14年11月18日に上士幌─十勝三股間39.9キロを開業して、全線が開通した。
 北海道の鉄道敷設は、明治29年に公布された「北海道鉄道敷設法」によって現在の根室本線」、宗谷本線、函館本線などが建設予定となり、明治から大正時代かけて次々と完成していった。士幌線は当初この敷設計画に入っていなかったが、明治43年から実施された北海道「第一期拓殖計画」の遅れを取りもどすべく大正5年、現石北本線の一部など四線とともに、「上士幌線」(帯広ー上士幌間、37.3キロ)として追加線に組み入れられた。
 その当時の河東郡は音更村1村で人口約1万人。木野、音更、中士幌、鹿追地区に開拓者が点在していたが、奥地は未開のままであった。
 音更村は大正10年、鹿追村と川上村(旧士幌村)を分村するが、この年の8月十勝平野北部開拓の使命をおびて、追加線となった上士幌線の実測が開始された。翌11年には、帯広から建設に着手工事は順調に進んで14年12月10日、帯広─士幌間30.1キロを開業した。残る士幌─上士幌間もひき続き15年に完成、7月10日に開通した。
 測量に着手した大正10年の音更、川上両村の戸数は2,546戸であったが、士幌までの開業によって入植者が急速に増え、全線開通時には音更村1,732戸、士幌村(大正15年6月村名改称)1,200戸の合計2,932戸に増加、人口は両村合わせて17,750人となっていた。北十勝の開拓を著しく進めた士幌線はその後、石狩山地を縦断、上士幌と上川を結ぶ鉄道の一部として、昭和9年から十勝三股へ向け延長工事を開始。14年11月8日、37.6キロを新たに開業して、全線76.0キロが完成した。
 北部十勝の開拓と、石狩山地南部一帯の森林資源開発を目的とした二度にわたる鉄道の開通で、奥地への入植者がふえ、農業と相まって林業が盛んになった。士幌村の人口は昭和5年11,863人を数え、その半数近くは上士幌地区にあって、翌6年4月、上士幌村を誕生させた。清水谷、糠平、十勝三股と延びた鉄道は、当時音更川の流送に頼っていた原木輸送を貨車輸送にかえ、勢多水銀鉱山を出現させた。また一本の道路もない三股は、樹海を切り開いた2本のレールによって街と結ばれ、、道内屈指の木材生産地として発展してゆく。
 昭和27年北海道総合計画の一環として、糠平ダム建設が開始され、31年6月に完成。これにともなって清水谷-幌加間のルートが変更され、旧糠平駅は湖底に沈み新駅が登場した。
 糠平ダムが完成する前の30年に士幌線にディーゼルカーが走り、31年には客貨分離が実施された。糠平湖は新しい観光地として脚光を浴び、乗車客は一層増加したが、国鉄の経営合理化によって35年には木野、萩ヶ丘駅が委託駅となり、10年後には駒場駅など5駅が無人化された。さらに木材需要の低迷などによって三股の造材も縮小され、53年暮れには糠平-十勝三股間が全国初のバス代行輸送となった。三度にわたる貨車暴走という痛ましい事故もあったが、開通以来63年間にわたって地域開発に貢献してきた士幌線は、国鉄の分割、民営化に伴って63年3月22日をもって廃止された。

昭和18年頃の沿線
士幌線の沿革=開通及び開業
木 野~士 幌間 大正14年12月10日
士 幌~上士幌間 大正15年 7月10日
上士幌~清水谷間 昭和10年11月26日
清水谷~糠 平間 昭和12年 9月26日
糠 平~十勝三股間 昭和14年11月18日

↑↑↑NPO法人ひがし大雪アーチ橋友の会HPより↑↑↑

旧国鉄士幌線とアーチ橋について。_c0087230_23175449.jpg
旧国鉄士幌線とアーチ橋について。_c0087230_2318189.jpg

by aimee-hoku-mahina | 2010-07-02 23:20 | 糠平やアーチ橋橋梁群